淋病だ。医師には風俗で口でされたのだと言った。本当の事など口が裂けてもいえない。「喉とか肛門にも感染するものです。」眼鏡をかけた私よりも歳下と思われる医師が言った。取り敢えず応急処置を施され薬を処方された。診察室には若い女性の看護師がいて、あからさまな好奇心を丸出しにして膿を吐き出している私の性器をジッと眺めていた。
薬を飲み始めて5日目の朝、唇が痛いぐらいに腫れ上がった。電話の向こうからは「取り敢えずは薬を飲むのを止めてすぐに病院まで来てください。」と言う声が聞こえた。私は会社を休み病院に向かった。クルマを使うなという指示だったので電車で向かっていた。なにか息苦しさがつきまとっている。電車を降り病院に向かって歩いていく。急激に呼吸が詰まってきた。息を吸っても呼吸が出来ない。気道に空気が入ってこない。頭がパニックになった。恐怖と息苦しさが同時に押し寄せて来る。まずい死ぬ!本能的にそう思った。 私は窒息の恐怖と目眩で道端に倒れこみ意識を失った。
私は病院のベットの上で目を覚ました。どうも私が倒れた場所が病院のすぐ目の前だったらしく、親切な通行人達によってそのまま担ぎ込まれたらしい。重度のアレルギー反応が出て単時間の間に気道が腫れ上がってしまったのだ。あと数十分遅れいたら酸欠のダメージで障害が出ていたか、最悪は死んでいたかもしれなかったとの事だった。倒れた場所が良かったとしかいいようがない。
数日後「一応完治しましたよ。でもこうして抗生薬アレルギーがあることも分かりましたし、あまり無茶な遊びは控えたほうがよろしいのでは。今度はアナフィラキシーが出る可能性もありますから。そうなったら今回の騒ぎどころではないことになりますよ。」若い医師は脅し文句を言うような口調でいった。以前であれば、ハイハイ!分かりました、ぐらいのノリで受け流していた言葉だったが今回は心底、心に響いた。
生まれて初めて本物の恐怖を知った。死の淵とはあんなにも恐ろしいものかと身を持って知ったのだ。
それから数十年、私は普通に家庭を持ち子供にも恵まれ自然の世界で幸せに暮らした。家庭では良き夫であり父親である。会社では有能な社員として評価され、良き上司としても皆から頼りにされ、真面目で明るく華もあり女性からも慕われている。
職場では管理職ではあるが
よく現場に出ては体を使った仕事を積極的にやり、部下達からも現場を知る上司として尊敬を集めた。とにかく私と接して誰もが驚くのはその見た目と年齢のギャップであった。元々がベビーフェイスであったところに加え体型もスリムである。初見の人はほとんどがその容姿と年齢のギャップに驚かされるのだ。
ある意味それは当然のことだ。誰にも絶対に言うのとの出来ない私の秘密がそうさせているのだから。
「現場仕事も多いので趣味と実益を兼ねて軽いトレーニングをしています。体を壊しては大変ですからね。」私は色々な人にそう公言している。そう言っているので心おきなく運動したり摂生したり出来ている。家族も職場も私が何を目的にトレーニングをしているのか知っているのだから「若々しいし、スタイルもよくて羨ましいことですね。」と誰からも、なにも疑われる事もなくその言葉を告げられ、私も笑いながらそれに答えられる。だが私の本当の心など誰も知らないのだ。
私の社会における自然な生活が安定して幸せに恵まれていく。すると、それと比例するかのようにあの時の感触がどんどんと増大してくる。忘れようとしても忘れられないあの時の事だ。あの時のあの男の視線が日を追うごとに、歳を重ねるごとに、私の心の中で増幅してきてしまう。体もしっかりと覚えていて、至る所が疼いてしまう。家族が寝静まった夜に一人で射精を繰り返す。あの夜を思い出しながら繰り返すのだ。この欲情はその一時だけは鎮める事もできるのだがすぐにぶり返してしまう。もう、その衝動にどうにも抗うことが出来なくなり、出会い系でタチに会った。ホテルで全裸になった私を見た相手からのあの視線が私を激しい欲情に陥れた。その視線だけでも思いっきりイケそうなぐらいだ。私が体を鍛えてきたのもこのためなのだ。趣味や仕事のためなのではない。私の体に欲情を覚えて、実際にこうして私の体で欲情をして、私の体を私と一緒に欲情の玩具として遊んでくれる、そんな相手を求めて鍛えているのだ。
だから、ただ鍛えいる訳ではない。ボディビルのような競技性や健康的な美を追うのではなく、他人を威嚇するような体格を目指しているのでもない。目的は一つである。見た人間が欲情を催すような妖艶な体になる事なのだ。昔、夢に見たあの時の自分のように、自分の体に魅惑され、自分の体に欲情した、あの妖艶な体を求めて自身の体を作ってきたのだ。
これまで募りに募った私の欲情が爆発の一歩手前まで差し
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