読切小説
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魔の快楽 X
今、私はあの老人の自宅にいる。今日もスーパー銭湯
に行くといって家を出てきたのだ。老人は何年も前に奥さんに先立たれていると
いうことだが、家の中は男
の一人暮らしとは思えない
ほどに綺麗にしてある。子供たちもとっくに独立して
いて大きくなった孫を連れて帰ってくるのは正月ぐらいとのことだ。

とにかく話は早く進んでいく。老人に誘われた私がここに居るということは、も
う変な探り合いや駆け引きなどは必要がないというこ
となのである。私はこれま
での自分の話を老人に聞かせた。死んでも他人に話す
ことなどは絶対にあり得ないと心に誓っていた私の欲情への渇望であったが、何のためらいもなくこの老人
には話すことができる。老人は頷いたり、簡単な質問をしてきたり、会話のやり取りをしただけで、とても高い知性の持ち主である事が分かる。

「あなたの気持ちは良くわかります。わたしもあなたと一緒で快楽の世界に取り憑かれてしまった人間ですからね。だから、あなたの姿を見てすぐにわかったのですよ、あなたの体から沸き立つエロさはこっち側の人間ならすぐにわかってしまうものです。さあ、まずははじめましょう。やりながら色々と話を聞かせてやりますよ。わたしも久しぶりなんで早くやりたくてしかたがないんですよ!」

私の見たところ七十後半から八十歳ぐらいのこの温和で気さくそうな老人だったが、私にそんな事を言いながら迫ってきた時のその目つきは、まるで何かのスイッチが入ったかのように豹変していて、あの時のあの男の目つきを思い起こさせる。私の方こそ、この待ち望んでいた欲情にたぎる視線を浴びせられ、全身に官能が走った。

事前に聞いた話である。この老人はSだそうだ。これまで色々なエロ事をやり過ぎて、本人が言うにはすっかり枯れ果ててしまったとこ事だ。勃起や射精などは
ほとんどなく、忘れた時に突然やってくる程度らしい。男がこんな状況になったら完全に性欲も無くなってしまうのだろうというのが一般的な考えなのだろう。だがそんな事はないそうだ。勃起しなくとも、射精が無くても、相手を快楽に溺れさせ、悶えるところを眺め、欲情の中に屈伏させることに無性の快楽を覚えるそうだ。射精などしなくても言い知れぬ快楽が精神を貫いてくるということらしい。

「わたしはねえ、初めてイジメる相手にはいつも最初にこうするんだ。」畳の上に全裸で正座している私を見つめる老人の目は完全に切り替わっている。私は老人の、その欲情のなすがままに身を委ねる。これが私にとっては言い知れぬ快楽になるのだ。老人は私の目の前で私の両手を一括りに縛った。そして縛ったまま両腕を上げさせると馴れた手つきで縛り上げてくる。腋さらしの状態だ。そのまま寝転ばされると今度は両足をピッタリと合わされ素早く亀甲で縛り上げられた。私の体は動きを完全に封じられ畳の上に転がされた。

「エロくていい体だ!」本気の欲情が伝わってくる。老人も裸になっている。老人特有のガリッとした細身に腸の腹圧で膨れた腹をしている。下半身は猿股姿である。まるで昔の屏風絵などに描かれている餓鬼のような姿だ。そんな欲情まる出しの餓鬼のような老人にまったく身動のとれないまま私の体が玩具として弄ばれるのかと思ったら官能で全身が打ち震えた。「おっ、もう勃ちはじてるのか、これはイジメ甲斐がありそうだ。」老人の目が異様に輝いた。

「最初にこうしておくと体の感度も上がるし、声も自然と出でくるんだ。」老人は私の胸に、首に、腋に、パウダーを振りかけてきた。そして動きのとれない上半身をサラサラと掌で撫で回しはじめた。パウダーで摩擦の無くなった私の皮膚の上を老人の掌が縦横無尽にうごめいているという感触だ。こんな感触は初めてである。だがその感触が突然変わった。十本の指腹が強弱をつけながら、素早く動いたり、グッと押しつけられたり、私の動けない首や腋の下や肋骨を、遠慮なく這い回りはじめたのだ。閉じたくとも閉じられない腋も、逃げたくても逃げられない脇腹や肋骨も、老人の手指から容赦ないくすぐりが送り込まれてくるのだ。

それは性感のかけらの一つもない、ひたすらのくすぐりだ。私はただただ芋虫のようにくねりながら、のた打ち回るしかない。声も何のためらいもなく出てしまう。「ハア、ハア、もう無理です、ハア、もう止めて下さい。」くすぐりの中、途切れ途切れにこんなセリフを自然と言わされてしまう。老人はとても楽しそうだ。欲情の目をランランと輝かせながらまったく止める気配がない。

少し休んでは体中をくすぐられふ。くすぐられながら弄り倒される。それが何度も繰り返される。私は全身で荒い息遣いをしながら許しを乞う。それが何度目なのかまったく覚えていないが束の間の一呼吸が終って、また容赦のない老人の手指が私の腋に伸びてきた。閉じることが出来ない、しかもパウダーのサラサラでこの上なく敏感にされてしまっている私の腋がまたくすぐりの屈辱で蹂躙されてしまうのだ。惨めな覚悟を決めて最大限に窪ませた腋を老人の前に晒した。サッと一本の指先の感触が触れる。もう一本、また一本、と来た。が、その指先からは激しい性感が発生してきたのだ。すぐに十本の指先が私の両腋を撫で回しはじめたが、強い性感だけが押し寄せてくる。くすぐったいなどの感触は一切ないのだ。老人のその手指が今度は首すじにまわされた。だがそこもくすぐったさが性感に変わっていた。左右に頭を振るごとに浮き立つ首の筋からも、老人の指先で撫でられるたびに性感だけが沸き起こてくる。肋骨の間にある横隔膜の部分を指で突かれてもそうだ。つい今しがたまで絶望的なくすぐりの技で容赦なく責め立てられていたのが、すべて性感へと変わってしまっている。何かで聞いたことがあるが、くすぐりの向こう側に行ってしまったに違いない。

私が悶える表情や漏らす声の音調の変化を確認した老人は私を見下ろしながら嬉しそうに言った。「出来上がったみたいですね。これであなたの全身が性感帯になりましたよ。ほらッ、どうでか。」すぐに私の脇腹を十本の指で揉みしだいた。ついさっきまでのくすぐったさではなく、はじめて経験す未知の快感で体がくねり声が漏れる。その声は笑い声ではなく、快感からむせび出る声に変わっていた。くすぐりの間中、散々声を立てていたのでなんの躊躇もなく快楽の声も上げられるようになっている。

その後、くすぐりから性感に変化させられてしまった私の体を、欲情に目を輝かせながら老人は弄り回した。縛られ動けない状態など初めてで最初は恐怖感もあったが、今はもうそんなものは無くなってしまっている。私は老人の手馴れた性技の虜になっていた。全身を敏感な性感帯にされてしまった私の体は、老人の手指からの性感を無防備に受け入れ、老人の思うがままに快感の波状に弄ばれている。老人の熱い欲情の眼差しが私を見つめている。その眼差しに見つめられるがままに、私は快楽の声を上げながらのけぞり返ることこしか出来ない。「凄い!、凄い!」絶叫している私の、硬たくなった性器から剥き出されている亀頭の口から精液が飛び出すのがわかった。体全部が性感帯となったその強烈な性感の刺激がすべて集中したかのようにして激しい射精となったのだ。あの時のあの男との激しい性交以来の快楽で全身を震わせた。

老人は私の縄を解きながら
「男の体というものは性感を感じるいう意味では女のそれよりも遥かに敏感に出来ているのですよ。ただほとんどの男はそれに気づいていないだけなんです。どうですか実際に体験された感想は? ある時、わたしはそれに気づいたのです。わたしもあなたと同じで最初は女にしか興味はなかったのですが年齢とともに興味が失せていき、こちら側に来た訳です。なんでしょうか、お互い生殖の役目が終了したという認識を持つと男と女とはそういう風になっていくものなのでしょうかねえ。で、なにか急に男のチンコに目が行くようになってしまって。最初はわたしも戸惑いましたよ、だってそうじゃないですか、まさか自分がゲイだなんて。家族や会社に知られたらもう大変なことになってしまうし・・・」老人の話は尽きる事がない・・「・・で確信を持ったのです。男の乳首なんて性感を感じる以外になんの役目があるのでしょうか?しかも調教すればするほど感度が上がっていくのです。前立腺だって同じじゃないですか!」仰向けになってまだ全身の快感の余韻のまま虚ろにしている私に、はたと気づいたような顔をした老人は「わたしの話をちゃんと聞いていませんでしたね。しょうがないですねぇ。じゃあ、わたしの理論をあなたの体で証明してあげますよ。ちゃんとわたしの話しを聞いていなかったあなたが悪いのです。少しお仕置きしないと駄目ですね。」老人はそう言いうと少しの間だけその場を外した。そして段ボール箱を抱えて戻ってくると横たわる私の足元にその箱を乱雑に投げ置いた。「私のコレクションを使ってタップリとお仕置きをしてやりますよ。覚悟して下さい。でもあなたにとってはお仕置きではなくご褒美になってしまうかも知れませんがね!」

投げ置かれた勢いで横倒しになった段ボール箱からは
、猿轡やアナルプラグや結束具や、色々な種類の責め道具がドサッという感じでこぼれ出ていた。


26/04/24 21:50更新 / KAGE

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