連載小説
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なるほど頑固そうな親父警官はどこにもいるようだ・・・
今年還暦になるが結局結婚もできず、仕事も何度も会社を変わり、最近ではあちこちのバイトを渡り歩く生活を続けている。親からはとうの昔に呆れられ、最近は連絡さえとっていない。生きてはいるらしいが。。この先どうしたものかな、と思いつつも相変わらずダラダラとした生活を送っていた。
電車の駅を二つ行ったところにこっち系の友達の家があり、時々通っていた。その時も一頻りその友達と楽しんだ後、帰路についたが、最近少し太り気味だったので一駅歩こうと思いフラフラとのんびり歩いていた。すると外人の老夫婦が観光旅行中なのか道を聞いてきた。
夫婦:「Would you tell me the way to Information-Center or Travel Agency near here?」
俺は英語は問題ないのだがこの辺の土地勘が無い。どうしようかと辺りを見回すと交番特有の赤い電灯が目に入った。
俺:『Why don't you ask it to that police station?』 で、二人を交番に連れて行った。途中で必要があれば通訳するからと伝えると安心した様子だった。交番に着き、入って行くと、60代くらいの体格の良い少々厳つい感じの警官がデスクに座っていた。
俺:『こんちは。オーストラリアからのこのお二人が道を聞きたいそうなので連れてきましたよ。』
すると、オジサンデカ、部下に声を掛け、
警官:「おーい、川西君、君 英語出来たんだよな。こちら、ちょっと対応頼む。」 と、指示した。。
結局、二人の要件だと旅行会社が良いだろうということになり、警官が地図を描いて説明していた。ああー、俺がこの二人を連れていくことになるのかなーと思っていたら、二人はその地図の辺りは分るらしく自分たちで行けると言った。交番を出がけに夫人が、Thank you so much!とハグしてくれた。俺としては旦那さんの方にハグして欲しかった。何気にタイプだった。
警官:「いやー、国際交流も重要な事で、親切に連れてきてくれてありがとうございました。」
俺:『いえいえ。でも、最近は警察もグローバルですな。』 とお世辞をいうとオジサンデカはニッコリと笑った。が、その顔が少し鼻に付いた。これからはこいつを親父デカと名付け、お祭りのターゲットにしよう、、、と決めた。

それから数ヶ月後、同じ様に友人の家に行き、お互いの身体を貪った後、また、一駅歩いて帰ることにした。公園を横切る時に黒いファイルカバンの様なものがベンチに置いてあった。辺りを見ても誰もおらず、忘れ物かもしれないと思い、カバンに一切手を触れないようにして持っていたエコバッグに収めた。例の交番が近所だったので届けることにした。
俺:『まいどー。忘れ物拾ったんで届けに来ましたー。』 奥からまたあの親父デカが出てきた。
親父デカ:「あ、あなたは前に外人さんを連れてきてくださった方ですね。きょうは?」
俺:『いや、公園で誰もいないのにこのカバンだけが放置されていたので、念の為に届けにきましたよ。あ、カバンには一切触ってませんよ。。あはっ、テレビドラマの観過ぎですかね?』
親父デカ:「はは、余り気にしないでください。あー、でも、今ちょっと別の案件で取り込んでいます、がー、拾った時の事情を詳しく聞きたいのでこの部屋で待っててくれませんか、すぐ終わりますから。」
通されたのはテレビでよく見る取調べ室の様なところ。おおお、見た事あるある、と少し興奮気味に辺りを見回した。
男:「だから、やってねえって言ってるだろー。しつこいなー。」 と隣から大きな声がした。気になって壁に耳を押し付けて様子を覗った。
親父デカ:「やってないなら問題ないだろ。さっさと扱いて出せよ。」 ん?扱く?出す?何だ?ドキドキしてきた。
 「ここでお前が出した精液と現場で採取した物と照合すれば全て方が付く。早く、このシャーレに出せ!」
おおおお、聞いたことはあったが精液採取、、ほんとにあるんだ!
男:「知らねーよ。」
親父デカ:「言う事聞かないなら、こうするまでだ!」 ドタンッ、バタンッ、ガタゴトッ、ガタ、ゴトンッ。
男:「止めろおっ。ックアーッ。俺に触るな!」
俺はもう隣の出来事が気になって気になって仕方がなかった。今一度、辺りを見回すと部屋を隔てた壁の奥にドアがあった。そーっと静かに開けて見るとドアは開いた。2cmくらい開けてコッソリ覗いてみた。   おおおおお、凄い!警官の一人が男を後ろから羽交い絞めの様に腕を抱きかかえ、親父デカが男のズボンを降ろし、男のチンポを扱いていた。 おおー、これが所謂、精液の強制採取かー。強姦の現場に残された体液(通常は被害者から採取することが多いらしい)があった場合、容疑者からも自慰で精液を出してもらい、それと照合することで犯人がどうか判定する資料とする。でも、容疑者がその精液提出を拒んだ場合、警察側で強制的に採取するらしい。程なく男が佳境に達したらしく、それと思しきアクションをしたので親父デカはシャーレを手にして、
親父デカ:「ほらっ、こぼさない様にこれに入れろ!」

親父デカ:「いやー、すみませんね。ちょっと、手間取りまして。お待たせしました。」
俺:『いえいえ。凄いですね。ああいうのを言うんでしょ、強制採取って。』
親父デカ:「え?」 怪訝そうな顔をしたので、
俺:『あ、いや、隣でドタバタ始まったので、気になって気になって、あのドアからちょこっとだけ覗いちゃいました。』
親父デカ:「え?鍵が掛かってたでしょ?」
俺:『いえ、開いてましたよ。。。いやー、興奮しちゃって、我慢汁ダラダラでちょっとズボン染みちゃいましたよー。』 実際、俺のズボンの前が少し染みていた。
親父デカ:「はは、素人の方には強烈過ぎたでしょうね。大変ですね、それよりズボン、大丈夫ですか?」
俺:『あ、大丈夫です。すぐに乾くでしょうから。』
親父デカ:「それでは、カバンを拾った時の状況を詳しく教えてください。」
俺:『おお、そうでした。』 本来の目的を思い出した。一通りの説明が終わり、うるうる眼差しで親父デカを見つめていると、
親父デカ:「ん?どうしました?まだ何か言い残したことでも?」
俺:『いえ、国際交流といい、容疑者への容赦ない詰め寄り、警察官って、いやオヤジさんって凄いなーと思って。。。』 多少のゴマすりはあったが親父デカは満更でもない様子で渋い顔の奥でニコニコしていた。ただ、俺には既に一つの計画があったのだ。。。。

少し親父デカについて調べてみた。休みは不定期の様だったが火曜日と日曜日は居ないことが多い。出勤日は午後3時頃、近所の見廻りということで自転車で小1時間パトロールしていた。そのコースもいつも全く同じではないが、大体把握した。
そして、実行の日、6月のどんよりとした生暖かい日である。
人気の少ない遊歩道の少し奥に昔からある大きくもなく小さくもない古ぼけた今は使われていない小屋。大きな家具、畑仕事用の古い大きな機械、布団は敷いてないがちゃんとしたベッド、ドアには鍵は掛かる様である。そう、ここがお祭りの場所である。事前に準備万端に整えて時を待った。 程なく、向こうから自転車に乗って親父デカがやって来た。

俺:『誰かー! 誰かいませんかー! すみませんー、誰かー、助けてくださいー!!』 大声で叫んだ。
キイィーキッ、案の定、小屋の外で自転車が止まった。
親父デカ:「どうしましたー? 誰かいるのですかー?」
俺:『足が、、足が、引っ掛かってしまってー。』
ガタガタと扉を開けて親父デカが入ってきた。
親父デカ:「どうしました! あ、あなたは何度かウチに来た方じゃないですか! なんでこんなところに!」
俺:『いえ、ウサギみたいなのが小屋に入っていったので捕まえようと思って入ったら、この様なありさまで。。。その辺に居ませんか?ウサギ。。』
親父デカ:「いや、いないみたいですな。あー、隅っこに小さな穴が開いている。そこから逃げたんでしょう。それより、足、大丈夫ですか?」
俺:『いえ、何故だか、なかなか抜けなくて。。』 ウソである。抜こうと思えば簡単に抜ける。演出の一環だった。
親父デカ:「ちょっと、そっちの機械、少しずらしてみますね。  よし、、オラっと。  あー、だめだー、全然動かない。」
俺:『ちょっとでも動くと足外れると思うんですがね・・・』 親父デカの悪戦苦闘が10分くらい続いた。
親父デカ:「もう一回、今度は全体重かけてみるから。 せーの。」
俺:『あー、抜けた! 抜けましたー! いやー、ありがとうございますー。』
親父デカ:「おおおおー! 抜けたー、良かった、良かったー!」
俺:『いやー、ありがとうございました。汗びっしょりですね。これでも飲んで一息入れてください。』 準備しておいたペットボトルから紙コップにそれぞれお茶を注ぎ、一つを親父デカに渡した。軽く乾杯の仕草をしてそれぞれ口に当てた。親父デカはお茶を一気に飲み干した。ただ、これには事前に即効性の睡眠薬を忍ばせていた。思った通り、すぐに目が虚ろになり、都合のいいことに親父デカ自らベッドに倒れこんだ。
俺:『お巡りさん! どうされました。 大丈夫ですかー。』
親父デカの頬っぺたを強めにバシバシ叩いても、うんともすんとも言わない、熟睡である。さあ、パーティーの始まりだ。
21/06/07 19:31更新 /
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