読切小説
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心と体は裏腹につき
読み返してみれば、体験談というより一風変わった生い立ちのような内容で「だから?」「それで?」とドン引きされそうですが、どうかご容赦の上でご一読いただければ幸いです。


複雑な家庭事情で、私は産まれて間もなく乳児院に引き取られ、やがて今で言う特別養子縁組によって将来にわたって子供を望めない養親に育てられた。

ところが養母が脳梗塞で倒れてから数ヵ月経ったある日、リハビリ中にも関わらず多臓器不全の合併症であっけなく世を去ってしまった。

それまでも養母の目を盗んでは私の体を弄んでいた養父が、葬儀を終えた夜はまさに一線を越えたというか、養母の遺影に見せつけるように私の体中を舌が這い回り、包茎だったぺニスを突然剥かれた時は身体中に電流が走り、うめきと同時に何かが勢いよく迸った。

それを見た養父はまるで別人のようにいきり立った一物を容赦なく私の口にねじ込んだ。
このときばかりは声も出せず、息をすることさえできない状態でマジで死ぬかと思った。
全てが終わってから、迸った『何か』が精通であったことを知らされても頭の中が真っ白のパニック状態で夜を明かしたことを今でも鮮明に覚えている。

このような異常な性関係を誰にも打ち明けられずにいたことで、養父との関係は次第にエスカレートしながら毎夜のように続いたが、不安と得たいの知れないドキドキ感はその後の人生に多大な影響を及ぼしたことは確かである。


転換期は思春期のちょい前あたり、胸に痼りを感じてから日を追うごとに膨らみ始め、下着に触れるだけで軽い痛みを感じるようになった。

それは思春期を過ぎても元には戻らないどころかさらに発育し続けたのでバレないように隠すことだけでも苦痛の極みであった。
なので義務教育を終えてから通信制の高校で学びながら年齢をごまかしてスナックバーで働いた。

面接時に事情は一通り説明していたが、店のママも甚く気になるらしく、付き添われて受診した乳腺クリニックで胸の痼りはデンスブレスト(高濃度乳腺)であると告げられた。

欧米より日本人の女性に多く見受けられるそうで、男性では極めて珍しい症例(受診した専門医も初めてとのこと)であることから、男性でも乳がんの可能性があるので定期受診することや血流を妨げないブラの着用などを告げられた。
私の場合は生まれ持った体質と成長の端境期に雌♀として扱われたことが奇跡とも思える偶然を呼び込んだのではないかとのことであった。

定期検診は今も月イチで続けており、体型は変わらずとも今日に至るまで何ら問題を指摘されてはいない。


ここまで書くと、ただの『変態女装親父』とバッサリ吐き捨てられるだろうが、養父が事故死してからは家督は継がず、九州の片田舎に移り住んで一人寂しく暮らしている。

日常もユニセックスの装いなのでしばしば女性に間違われる。

定期検診の際に受付でマイクで呼び出されると周囲の視線が一斉に集中したりだとか、運転免許証更新の際に警察官立ち会いのもとで公安委員会による身体検査があったり、空港でキャンセル待ちのアナウンスに実名で呼ばれ「お連れ様は?」と問われて説明に苦慮したことも。


あ、大事なことを一言....悲しいかな本番だけは頑なに拒み続けたツケが回って未だに人肌挿入は未経験である(泣)
自業自得とは言え、今となっては唯一の心残りはそこにある。


19/06/26 23:19更新 / とわ

■作者メッセージ
アナルセックスが叶うのなら例えどのような要求であっても誠心誠意お応えします。
もちろん中出ししていただいても構いませんよ。

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