オオカミの夜 1
その日は58才で早期退職する私の送別会だった。管理職も長年やり、自分ながらやり切った感があったので何も未練はなかった。継続勤務の依頼も有ったが丁重に断った。まだ必要とされるうちに辞めるのが花であろう。部下や他部署からも集まってくれ花束贈呈やスピーチ乾杯など盛り上がった。これから第二の人生が始まる。開業のため1年前から準備もしてきた。これは終わりではなく新たな始まりなのだという解放感もあり、酒が進むうちに気分も高揚し久しぶりにしたたかに飲んでしまった。2次会終了後、皆にお礼を言ってお開きとなった。歩き出すと急に酔いが回って来たようで、駅までの途中気分が悪くなり公園のベンチで少し休むことにした。 「大丈夫ですか?」と男から声を掛けられ気が付いた。ベンチで寝てしまったようだ「飲みすぎてしまって」と言うと、公園のトイレまで肩を貸してくれた。私は身長170cmだが体重が80kg以上あり最近は運動不足ですっかりメタボ体系である。男は180cm以上のがっしりとした大柄な体格で何かスポーツをやっているのかスーツが良く似合っている。トイレに入り明るいところで見ると30前後だろうか思った以上に若い男だった。個室に入って座ったところでまた眠ってしまったようだ。 どのくらい経ったか、下半身に違和感を感じ目が覚めると、男が私の一物に舌を這わせしゃぶっていたのだ。上目遣いの男と目が合う。「ようやく目が覚めたか」すぐに乳首をを舌先で転がし甘噛みされた。不覚にもビクッと体が反応し「アウッッ」と声が漏れてしまう。男は息が荒くなり、私の汗ばんだ首筋に舌を這わせてから右腕を無理やり上にあげ、蒸れた脇の下に鼻を押し付け匂いを嗅ぎ舌で舐め始めた。「アゥゥッ!」また声が漏れてしまった。 上半身はシャツのボタンが開けられ胸と腹が丸見えだ。パンツも下され怒張した一物は唾液でヌラヌラと濡れそぼり今にも暴発しそうだ。すぐには状況が理解できず、パニックになり体を離そうとしたがガッチリと大きな体で抑え込まれている。その時男の耳が潰れているのが目に入った。柔道選手なのかと思い恐怖感を憶え体を固くする。その時初めてさっき入った個室とは違う事に気付いた。いつの間にか身障者用トイレに移動していたのだ。 より一層きつく抱かれ口の中に舌をこじ入れられ強く絡め吸われた。舌が千切れるように痛む。しばらく舌で私の口中を散々犯し、男の唾液を無理やり飲まされた後にようやく体を離した。「こんなオジサンに何してるんだ」と言うと「俺はオジサンじゃないとダメなんだよ」さっき声をかけて介抱してくれた男とはまるで別人のようだ。私は色白ぽっちゃりで腹もだらしなく出ており太短い足、大きな尻、薄くなった髪、女にはモテる要素はまったくない。ましてや男の欲望の対象になるなんて頭が追い付かない。「君は男が好きなのか?これだけやったら、もう気が済んだだろう。これ以上は止めてくれ。誰にも言わないから」と言うと「あんた自分の状況が分かってないようだな」スマホの動画を見せられた。酔いつぶれて寝ている自分が、シャツのボタンをゆっくり開けられ胸と腹が露になる。乳首や腹を男が舐めまわす。ベルトを外しブリーフを下げ、私の一物をゆっくりしゃぶりながら怒張させるまでが克明に映っている。最後に私の運転免許証のアップが顔の横で大きく映し出された。 「まだ分からないのか、あんたはもう俺のモノなんだよ」酔いが急速に冷めていき、男の意図することがハッキリと分かった。この男は本気だ。背中に冷たい汗が流れ嫌な悪寒がした。この男からもう逃げられないのか。男が獲物の前で舌なめずりしているオオカミのように感じ、恐怖で涙が滲み絶望感が一気に押し寄せてきた。 |
||||||||||
|
||||||||||