連載小説
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指南役の残影
自己紹介から始めさせていただきます。
年齢は70歳を過ぎた杉山と申します。
私が男性同士...ゲイに目覚めたのは50年も前で、当時は今みたいにネットで知り合うとかではありませんでした。
たまたま書店で見かけた雑誌を立ち読みしていたら、それが男性同士の本だったんです。
それまでは女性としか無理だと思っていたんですが、男性同士というものに興味が出てしまっていました。

雑誌の中には男性同士が出会えるような施設、現在でいう所のハッテンサウナと呼ばれる場所が広告のように出されていて、私は緊張しながらもその場所をメモに取り、向かってみました。
当時は私のような若い方というは珍しく、その場所自体が年配同士だったというのもあり、かなり浮いたような存在になっていました。
そこで知り合った当時60代の磯六さんという方に男性同士のキスからチンコを舐めるまでに至って色々と仕込まれました。
磯六さんとは5年の付き合いがあり、タチもウケかも分からない私に彼是と教えてくれのは彼があってこそでした。
彼は既婚者で田舎から出てきてるというのもあり、毎日のように会えるという存在ではありませんでした。

彼との5年は長かったようで短いようなお付き合いをしていて、旅行も連れて行ってもらったり、ゲイバーなんかも一緒に回っていました。
そんな彼も年齢の波に勝てず、田舎から出てくることも難しいようになり、私は1人で活動すると共に、週末はハッテンサウナで男漁りをし、夜はゲイバーに出て飲んで帰るというのが繰り返されるようになりました。

この世界は誰でも同じじゃないかもしれませんが、最初のきっかけになった相手と似たような人を求めてしまうのは性なのかもしれません。
私は同じような生活を繰り返して、時に出会った人と付き合ったり別れたりを繰り返して、気が付いた頃には40代も終盤に差し掛かっていました。
20代という華がある時にゲイに目覚めてしまって以来、女性との行為は出来なくなってしまっていたと思います。
この頃になればウケがメインだとしても、たまにはタチをやらされる...なんてこともあったりで、それはそれで楽しかったと思います。

だけども同じような生活をしているとどうしてもむず痒くなる感覚があり、もっと刺激が強いことを身体が求めていたんだと思います。
そんな中で不況の波が来てしまい、長年勤めていた会社が倒産し、私はその年代で再就職先を探しては失敗を繰り返し、ゲイバーで飲んだくれるような日々が毎日のようになってしまっていました。
私が通っていたバーは年上の方がメイン客層なので、そこで私は出会いなんてのは求めていませんでしたし、それなりにモテるというプライドもあったので、タイプじゃない方から声をかけられたとしても断っていたんです。

その日もお店のマスターに『また仕事決まらなかったよ』と言って酒を飲んでいました。
私としてはこのまま仕事をせずに楽な仕事がないかな...とぼやいていたと思います。
それを聞いたマスターが『いい仕事があるからやってみない?』と仕事の斡旋をしてくれることになりました。
まさかその事がきっかけで、私の今後を揺るがすとは当時は思いもしていませんでした。
26/05/15 17:53更新 / 杉山浜沢
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