連載小説
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黄昏に濡れる場所
私は今年で七十三歳になる。周囲からは「武爺(たけじい)」という通称で呼ばれ、細々と一人暮らしを続けてきた。

若い頃から私の心は一貫して同性の男性だけを向いていた。世間の目を避けるように、しかし自身の本能に抗うことなく、ここまで生きてきたのだ。七十二歳に至るまで、私の日常は静かでありながら、特定の隠された情熱に支えられていた。日々の性的な欲求や心の隙間を埋めるため、私はハッテンサウナやハッテン公園、ハッテン映画館といった場所へ足を運んでいた。そこは、名前も知らぬ者同士が一瞬だけ交差する、私にとっての特別な舞台だった。

世間のセクシャルな世界観の中では、私はいわゆる「ウケ」と呼ばれる役割に身を置いてきた。タチ役の男性から熱い熱を注がれることもしばしばあった。また、私の嗜好は少し特殊かもしれないが、若い頃から一貫して「老人」の男性しか愛せなかった。この歳になった今でも、それは変わらない。年上であれ年下であれ、どこか老境の影をまとった容貌でなければ、私の心も身体も反応しないのだ。

これまでの人生で何度かパートナーと呼べる存在もできたが、年齢を重ねるにつれて、別れの悲しみが重くのしかかるようになった。大切な人の死や離別を受け止めきれず、いつしか「誰とも深く付き合わない」という殻に閉じこもるようになっていた。その場限りの刹那的な関係こそが、私にとって最も安全で、かつ欲望を満たせる形だったのだ。

そんなある春先のことだった。いつものように日課としてハッテン公園へ向かった私は、顔馴染みの老人たちと他愛のない会話を楽しんでいた。私にとって、その場所へ出向くことは、閉じこもりがちな生活の中で外の世界と繋がるための貴重なきっかけに過ぎなかった。

その日、いつもの老人たちが「いい男を知っている」と私に耳打ちした。別の老人を紹介するというのだ。私は特に深い期待も抱かず、ただ好奇心に押されるように、翌日も同じ場所で待つことにした。

そして現れたその人は、私の想像を遥かに超えていた。白髪を綺麗に整え、眼鏡をかけた知的で壮麗な佇まい。どこか気品すら漂わせるその姿は、これまで私が好んできた野暮ったい世界とは全く別の、洗練された人間のように見えた。

私たちは言葉を交わす間もなく、公園のトイレの個室へと足を踏み入れた。暗がりの中、促されるままに彼のズボンを下ろし、その大きなナニを口に含んだ。驚いたのは、その圧倒的な質量だった。皮が少し余ったような状態のそれを剥いてみると、微かに鼻をつくような恥垢の匂いが漂ってきた。決して清潔とは言えないその匂いこそが、長年老人に慣れ親しんだ私の本能を激しく刺激した。私は夢中でそれを綺麗に舐め上げていった。

私の必死な様子に満足したのか、彼は低く落ち着いた声でお尻を向くように命じた。言われるがままに身を委ねると、次の瞬間、重く熱いそれが一気に挿入されてきた。

ハッテンサウナと呼ばれる施設や公園で数え切れないほどの経験を踏んできた私だったが、その感覚は異質だった。久しぶりに出会った理想的なタイプの老人。それだけでも胸が高鳴るのに、彼が持つ圧倒的なボリュームと力強い責めは、これまでにないほどの激しい快楽を私にもたらした。普段の私なら、自分の手で丁寧に刺激しなければ達することすら難しいというのに、彼の容赦ない技術と情熱の前に、私は何度も何度もイッてしまっていた。

彼もまた、私の奥深くまで熱いものを注ぎ込んでくれた。行為が終わると、彼は名残惜しそうにナニを引き抜き、息を弾ませる私の目の前にそれを差し出した。普段なら衛生面を考えて絶対にしないような後処理も、その時の私にはためらいがなかった。むしろ、彼の一部をすべて飲み込みたいという衝動に突き動かされ、私は自然とその行為に身を委ねていたのだ。

その日を境に、私たちの関係は急速に深まった。週に三回ほど、彼は私を誘い出し、私たちは人目を忍ぶようにトイレの個室で激しく求め合うようになった。

そんなある日のことだった。いつものように激しい愛欲の余韻に浸る中、彼が静かに、しかしはっきりとした口調でこう切り出した。

「一緒に暮らさないか」

その提案を聞いた瞬間、私の胸には一陣の温かい風が吹き抜けたような気がした。毎日のように彼と肌を重ねたい、その温もりに包まれて余生を過ごしたい。長年、孤独を恐れて誰とも暮らさないと誓っていた私の心は、その一言であっけなく崩れ去り、私は迷うことなく彼の提案を受け入れることに決めたのだった。

彼の家に招かれた日、私が最初に圧倒されたのは、そのそびえ立つ建物の圧倒的な存在感だった。世間で言ういわゆるタワーマンション、その高層階。私のような年寄りが、こんな煌びやかな場所に足を踏み入れていいのだろうかと、足元がすくむような不思議な感覚に襲われた。

部屋に通されると、そこは数部屋もある広大な邸宅だった。過剰な装飾こそ控えめで「限りなく質素」な雰囲気を纏っていたが、置かれている家具や調度品のひとつひとつから、本物の高級感がひそやかに漂っていた。

「本当に、私なんかがこんなところに一緒に住んでもいいのだろうか……」

胸の奥で小さな不安が泡のように湧き上がった。もしかしたら自分は何か別の意図で騙されているのではないか、そんな良からぬ疑念さえ頭をよぎり、その日はおずおずと自分の家に帰ることにした。

しかし、翌日になると彼は再び私をその部屋へと呼び出した。指定されたタワーマンションの扉を開けたとき、昨日の出来事が幻ではなく現実なのだと実感させられた。私は再び彼と向き合い、どうしても気になっていた疑問をぶつけてみた。

「本当に、私なんかでいいんですか?」

私の見た目は、白髪交じりの頭に眼鏡をかけ、体型はだらしないほどぽっちゃりとしていて、体毛も薄い。ゲイの世界において、若い頃から決してモテる部類の容姿ではないと自覚していた。実際にハッテンサウナや公園、映画館といった場所でも、自分に声をかけられることは少なく、いつも自分から相手にすがりつくようにしてどうにか欲望を満たしてきたのだから。

だが、彼は私の問いかけに不敵な笑みを浮かべ、思いがけない理由を口にした。

私の見た目や体型こそが、彼にとっての「理想のストライクゾーン」だったのだという。そして、あの日の公園で、私が彼の恥垢まみれの汚れたナニであっても嫌な顔一つせず夢中で舐めたこと、あれこそが、彼にとっての重要な「テスト」の一環だった。私ならば、自分の底知れない欲望をすべて受け止め、叶えてくれると確信したのだと彼は言った。

「今日は、さらに君のテストをしてあげよう」

そう告げると、彼はやおら衣服を脱ぎ捨て、越中褌一丁という古風で淫靡な姿に変貌した。

前日に公園で行為に及んでから、彼は一度もシャワーを浴びていなかった。その全身からは、男特有のむせ返るような体臭と、汗と排泄の混じった濃厚な匂いが漂ってきた。

彼はまず私に片足を突き出し、それを舐めるように命じた。世間一般の基準から言えば「臭い」「汚い」と忌み嫌われるその匂いこそが、私の歪んだ、しかし抗いがたい性癖の核心だった。人からは敬遠される悪臭が、私にとっては最高の報酬であり、これ以上ない興奮剤なのだ。

私の執念深い舐めっぷりに、彼は満足げな低い声を漏らした。
「やっぱり君は、思った通りの逸材だ」

褒め言葉ともつかないその言葉を合図に、彼は褌を完全に外し、次に自身の汚れたお尻を私の目の前に突き出した。
「軽く拭いただけだ」という彼の言葉通り、強烈な匂いが鼻腔を殴りつける。だが、嫌悪感など微塵もない。私は歓喜に震えながら、彼のその卑俗な穴を舌先で隅々まで綺麗に舐め上げていった。

私はただひたすらに奉仕し、彼の身体を貪っているだけだというのに、不思議なことに私自身のナニはちぎれんばかりにギンギンに硬くなっていた。

前日よりもさらに濃厚な男の匂いを放つ彼のナニを口に含む。同じように夢中でしゃぶっていると、彼の方に限界が訪れたらしい。突如として私の頭をガシリと鷲掴みにし、逃げ場を塞いだまま、喉の奥深くまで自身のナニを突き刺した状態で、彼は熱いものを発射した。

それだけでは終わらなかった。彼はその状態で小便をも放出してみたいと言い出した。私にとっても初めての経験だったが、彼のためなら拒む理由などどこにもなかった。言われるがままに受け入れ、喉を鳴らしながら、その生温い液体をすべて飲み干していく。

その背徳的な快楽に喉を震わせていると、私自身も興奮の限界を迎えていた。誰かに手を使ってもらうわけでもなく、ただそのシチュエーションだけで、私は勝手に果ててしまっていた。

このときの私はまだ知らなかった。この日から、私が彼にとってのただの「性処理道具」として溺れていく日々が始まるのだということを。
26/09/01 14:44更新 / 調教師の60代
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