連載小説
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一線を越えて
あの初夏の午後から、私の日常は180度形を変えた。
退屈だった散歩の時間は、今や二人の主人――厳さんと修さんに呼び出されるための、甘美な待機時間へと変わっていた。週に何度も二人のマンションへ通い、衣服を剥ぎ取られ、交互に、あるいは同時にその身体を受け入れる。それが私の新しい生き甲斐になっていた。

出会いから数ヶ月が経った頃、二人の私に対する調教は、さらに次の段階へと進もうとしていた。

「おい、こっちへ来い」

その日、リビングのソファに腰掛けた厳さんが、低く威厳のある声で私を呼んだ。
私はすでに、彼らの前では自ら進んで服を脱ぎ捨てるようになっていた。生まれたままの姿で、床に膝をつき、厳さんの足元まで這って進む。65歳にもなって、他人の足元に跪くなど、かつての私なら考えもしなかった。だが、今の私は、この従属の姿勢そのものに奇妙な興奮を覚えるようになっていた。

「本当に従順な良い子だ。修、あれを持ってきなさい」
厳さんが私の白髪を乱暴に、しかし愛おしそうにかき回しながら命じた。

奥の部屋から戻ってきた修さんの手には、小さなガラスのコップが握られていた。中には、少し濁った黄色い液体が入っている。部屋の中に、微かにツンとする独特なアンモニアの臭いが漂った。

「厳さん……それは?」
私は嫌な予感がして、思わず身をすくめた。

「さっき、私が排泄したばかりの尿だよ」
厳さんは冷徹な、しかし底知れない愉悦を湛えた目で私を見下ろした。
「お前は私たちのペットになりたいんだろう? ならば、主人のすべてを受け入れる義務がある。……これを残さず飲み干しなさい」

「え……っ、そんな、それは……!」
さすがに私の口から拒絶の言葉が漏れかけた。いくら男色に目覚めたとはいえ、排泄物を口にするなど、生理的な嫌悪感が先に立つ。それは、人間としての最後の尊厳の境界線だった。

「どうした? 嫌なのかい?」
隣にしゃがみ込んだ修さんが、私の耳元で冷ややかに囁いた。
「嫌なら、今すぐここから出て行きなさい。もう二度と、あの公園でお前を顧みることはないよ。また元の、孤独で退屈な老後に戻るだけだ」

修さんの言葉は、鋭い刃となって私の胸を突き刺した。
二人に捨てられる。またあの、誰からも必要とされない、死を待つだけの静かな日々に逆戻りする――。その恐怖は、尿を飲まされる嫌悪感を遥かに上回った。二人の支配から切り離されることこそが、今の私にとって最大の絶望だったのだ。

「……いただきます」

私は震える手で、修さんからガラスのコップを受け取った。
鼻を突く強い臭いに、胃の奥がキュッと収縮する。厳さんと修さんは、私が一線を越える瞬間を、息を呑んで見つめていた。私は目を硬く閉じ、コップを唇に当てると、一気にその液体を喉へと流し込んだ。

「くっ、うぅ、ぷはっ……!」

喉を焼くような独特の塩気と熱が、不快な臭いとともに体内へと流れ込んでいく。生理的な涙が溢れ、激しくむせ返りながらも、私はコップの中身を最後の一滴まで飲み干した。
空になったコップを床に置くと、口内には強烈な残渣が残り、自分が今、決定的な一線を越えてしまったのだという現実が、重く脳を殴りつけてきた。

「よくやった。本当に大した犬だ」

厳さんが低く笑い、私の顎を強引に掴み上げた。彼の親指が、私の唇の端に垂れていた雫を乱暴に拭い取る。その顔は、征服欲を満たされた男の、この上なく愉悦に満ちた表情をしていた。
驚いたことに、あれほど拒絶していたはずの私の身体は、主人の賞賛の声を聞いた瞬間、ゾクゾクとした激しい快感に支配されていた。羞恥と嫌悪が、頭の中で強烈な「興奮」へと変換されていくのが分かった。股間のペニスは、私の意志に反して、これまでになく硬く、猛り狂うように怒張していた。

「ご褒美をあげよう」

今度は修さんが、ズボンからすでに硬くなっている自身のペニスを目の前に突き出してきた。
「厳さんの次は、私の番だ。ここにたっぷり、私を注ぎ込んであげるからね」

私はもう、躊躇うことを知らなかった。自ら進んで修さんの股間に顔を寄せ、その太い肉棒を口いっぱいに咥え込んだ。
先ほど飲まされた尿の臭いと、修さんの放つ強烈な雄の匂いが混ざり合い、脳の血管が千切れるほどの背徳感が押し寄せる。頭を激しく前後に振り、彼らの匂いと味を、自らの口腔に、そして記憶に刻みつけるように貪った。

「ああ、いいぞ……そのまま吸い尽くせ」
修さんが声を荒くし、私の髪を掴んで奥深くへと突き入れてくる。
やがて、修さんの身体が大きく跳ね、私の口内の奥深くに、熱く濃厚な精液が何度も噴き出された。私はそれを拒むことなく、すべて喉の奥へと飲み下した。

「はぁ、はぁ……っ」
顔を上げると、口の端から白い糸が引いていた。
厳さんと修さんは、床に跪き、精液と尿で濡れた私を満足そうに見下ろしている。人間としての尊厳を失ったはずなのに、私の心はこれまでにない全能感と、満たされた幸福感で満たされていた。

「これでお前は、名実ともに私たちの『ペット』だ。分かったね?」
厳さんの言葉に、私はただ、犬のように小さく頭を垂れて「はい」と答えることしかできなかった。

この日を境に、私と二人の関係は「愛人」から完全な「主従」へと移行した。
私は二人の所有物となり、彼らの欲望の赴くままに染め上げられていくことに、至上の悦びを感じるようになっていったのだ。
26/06/11 15:35更新 / 調教師の60代
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