連載小説
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嘘と不逞な笑み
普段穿いていたトランクスが足元までずり下げられると、私のペニスはブルンと音を立てるような勢いで、自らのお腹を叩くほど猛烈に反り返った。
それを見た老人は、瞳を怪しく輝かせながら「もの凄く美味しそうだ……」とため息を漏らした。そして、先端から溢れてすでにベトベトになっていた我慢汁を、愛おしそうに舌先で味わい始めたのだ。
一瞬、脳裏にあの高校時代の明美さんの記憶がかすめ、トラウマが首をもたげるかと思った。しかし、私の口内にまだ残っていた老人の精液の味が、その不吉な影を瞬時に掻き消してくれた。恐怖は微塵も湧かなかった。

老人は私を慈しむように、口全体を使って私の昂りを深く咥え込んできた。
(ああ、こんなに気持ちの良いことが、この世に存在していたのか……)
脳の芯がドロドロに蕩けていくような、圧倒的な快感が波のように押し寄せる。男は口を動かしながら、「遠慮なく、僕の口の中に出していいからね」と濁った声で促してくれた。
私はこの至高の感覚を少しでも長く堪能していたいと願ったが、肉体の昂ぶりはすでに制御不能だった。あまりの心地よさに、咥えられてから一分も経たないうちに、限界を迎えてしまった。

数日前に田口の褌を嗅ぎながら自慰をしたときよりも、遥かに大量の精液が、老人の口内へと爆発的に放出された。
かつての孤独な自慰であれば、果てる瞬間などドロリとした液体が情けなく零れ落ちるだけだった。それが前回の自慰では「ビュルッ、ビュルッ」と二、三度勢いよく飛び出す感覚へと変わり、今回はそれをさらに凌駕していた。あまりに気持ち良すぎて、熱い脈動が六回以上も激しく繰り返されたのだ。
精根尽き果て、すべてを出し切った私は、老人と同じように個室の壁にもたれかかるようにして、へたり込んでしまった。

老人は私の精液を、一滴も溢さずにすべて喉の奥へと飲み干してくれた。
「この年齢でこれだけの量は初めてだよ……!」
彼は驚嘆の声を上げると、まだ余韻で震え、ゆっくりと萎み始めた私のペニスを再び愛おしそうに咥え、名残惜しそうに搾り取るようにしゃぶってくれた。
すべてが終わったあと、私たちは狭い個室の中で再び固く抱きしめ合い、深い熱いキスを交わした。老人は私の顔を見つめ、優しく微笑んだ。
「今度は、僕の家でゆっくりやらないかい?」
その甘美な誘いを、私が断るはずがなかった。男の肉体がもたらすこの目眩のするような経験を、私は何度でも、狂ったように繰り返したかったのだ。欲望の蛇が、私の心を完全に支配していた。

「お互い、たくさん汗をかいてしまったね」
老人が、私の汗ばんだ身体を気遣うように言った。確かに夏の暑い盛りのこと、狭い個室での密事を終えた私たちの肌は、じっとりと汗に濡れていた。
「それじゃあ、近くに馴染みの銭湯があるから、一緒にどうだい?」
そう言って差し出された手を、私は迷わず握り返した。

連れ立って歩いた銭湯の湯船は、驚くほど心地よかった。お互いに身体を隅々まで洗い流してさっぱりとしたあと、私たちは風がそよぐ露天風呂へと移動し、並んでお湯に浸かった。
温かい湯に包まれ、ゆったりとした時間が流れる中、老人がふと思い出したように口を開いた。
「そういえば、まだお互いにちゃんと名乗っていなかったね。僕のことは岩井と呼んでおくれ」
その言葉に、私はハッと我に返った。そうだ、彼は最初のベンチで、私のことを「中山さん」と勘違いして声をかけてきたのだ。

頭の中で、冷たい思考が急速に巡り始めた。
私は、この人との関係を絶対に断ち切りたくなかった。もしここで「私は中山ではありません。山口という者です」と正直に打ち明けてしまったらどうなるだろう。彼は騙されたと怒り出すかもしれない。下手をすれば気味悪がられ、嫌われて、この極上の関係が永遠に切れてしまうかもしれない。
もし岩井さんを失ったら、私はまたあの薄暗い公園で、私の欲望を満たしてくれそうな見知らぬ誰かを、飢えた獣のように探し続けなければならないのだろうか。様々な憶測と恐怖が、脳裏をぐるぐると駆け巡る。
(偽名でいい。中山のままでいよう。たとえ別人としての関係だとしても、彼を失うよりはマシだ……)
私は意を決して、彼を見つめ返し、嘘の震えを隠しながら声を絞り出した。
「……中山、です」

私がそう告げた瞬間だった。
岩井さんは一瞬、狐につままれたような素っ頓狂な顔をしてポカーンと私を見つめた。
(しまっ、た……。嘘がバレたのか?)
心臓が嫌な音を立てて跳ね上がり、言い訳を必死に探そうとしたその時、岩井さんは私の顔を見て、突然「ハハハハハハ!」と、露天風呂に響き渡るような大声を上げて笑い出したのだ。

あまりの爆笑に、私は完全に硬直してしまった。
もしかして、彼は私が中山ではないという事実を最初から知っていて、私の拙い嘘を嘲笑っているのだろうか。それとも、何か別の突拍子もない理由があるのだろうか。
「あの、岩井さん……?」
関係が崩壊していく恐怖に怯えながら、私はなんとかこの場を繕うための言葉を、頭の中で必死に試行錯誤し始めていた。
26/06/01 19:01更新 / 調教師の60代
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