連載小説
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白日の悪夢
不調法に膨らんだ私の体型では、とてもではないが走ることなどできなかった。私はただ、競歩のようなぎこちない早歩きで、必死にその場を後にした。
容赦なく照りつける、夏の暑い昼下がりだった。息を切らせて歩くうちに自動販売機を見つけ、貪るように冷たいお茶を一本買い求めた。喉を鳴らして一気に飲み干す。
しばらく木陰で呼吸を整えながら、(さっきの男は一体何だったのだろう……)と、狐につままれたような心地で首を傾げていた。

しかし、一息ついたのも束の間、先ほど流し込んだお茶が早くも悪さをし始めた。下腹部に急激な尿意をもよおしたのだ。老人年齢になると、こうも尿意を我慢できなくなるものか。我が身の衰えに、つくづく嫌気がさしてくる。

私はたまらず、公園の隅にある公衆トイレへと駆け込んだ。幸いにも空いていた小便器の前に立ち、ズボンからペニスを取り出して用を足し始める。
その直後だった。背後に人の気配を感じたかと思うと、わざわざ私のすぐ隣の便器に、あの男が滑り込んできたのだ。
他にもいくつも便器は空いている。なぜ、よりによって私の隣に来るのか。嫌な予感に背筋が凍り、私は一刻も早く用を済ませて立ち去ろうとした。
だが、隣の男からは尿の迸る音が聞こえてこない。男は微動だにせず、仕切り越しにじっと私の方を覗き込んでいた。その不躾な視線は、私のペニスに冷酷に集中していた。

横目で盗み見ると、男もまた自身のペニスをズボンから露出させていた。そして、私のモノを凝視しながら、信じられないことに、自らのモノを激しく扱いき始めたのだ。
(もしかして、こいつは本物の変態か……!)
恐怖が頭を殴りつけた。尿を出し終えた私は、一秒でも早くこの異常な空間から逃げ出そうと、身支度もそこそこに背を向けた。

だが、運命はそれを許さなかった。不意に、鉄の万力のような力で、私の右腕が掴まれた。
「中山さんでしょ? 約束したじゃないですか」
男は低く狂気を孕んだ声でそう囁き、どれほど私が身をよじっても、その手を決して離そうとしない。
「人違いだ! 何のことか分からない!」
必死に腕を振り払おうとするが、男の腕力は凄まじかった。男は自らを「田口」と名乗ったが、私の記憶のどこを探しても、そんな男の心当たりなどあるはずがなかった。

田口は私の抵抗を嘲笑うように、私の手を力任せに引っ張り、自身の股間へと誘導した。そして、無理矢理その大きな手を、自分のペニスへと握らせたのだ。
これまでの人生、銭湯などで他人のモノを目にする機会はあった。だが、触れたことなど一度もない。ましてや、血が通って硬く、凶暴なまでに大きくなった他人の肉塊を握らされるなど、生まれて初めての経験だった。その圧倒的な質量に、頭の中が真っ白になる。

田口は怒ったような口調で、私に向かって何事かを捲し立てていた。しかし、極限の恐怖に支配された私の耳には、それは意味を持たない不快な雑音としてしか届かなかった。
茫然自失となり、身体から力が抜けた私を、田口は獲物を仕留めた肉食獣のように、そのままトイレの個室へと引きずり込んでいった。
狭い個室に無理矢理押し込められ、背後でバタンとドアが閉まる。田口はその巨体で入り口を塞ぎ、私の退路を完全に断った。
「助けてくれ! 誰か!」
ようやく我に返った私は、外の通行人に届くよう、声を限りに叫んだ。
しかし、私の手を抑えつけていた田口の分厚い手のひらが、今度は私の口を乱暴に塞ぎにきた。私よりも遥かに体躯が大きく、怪力の田口の前では、私のささやかな抵抗など赤子の手をひねるようなものだった。

田口は口を塞いだまま、器用に片手で自身のベルトを緩め、ズボンを足元までずり下げた。そして、外した革ベルトで、私の両手の手首をきつく縛り上げた。
ベルトの下に彼が身につけていたのは、白い六尺褌だった。田口はその褌を引きちぎるようにして取り去ると、今度はそれを私の口に力任せに巻き付け、猿ぐつわ代わりにした。
盛夏の熱気も手伝って、男の汗と体臭が染み込んだ褌は、鼻が曲がるほどに蒸れて悪臭を放っていた。そのあまりの臭気と屈辱に、私はその場で気を失ってしまいそうだった。

完全に緊縛され、身動きの取れなくなった私を、田口は容赦なくおもちゃのように扱い始めた。私のズボンを強引に引きずり下ろし、下着さえも容赦なく剥ぎ取る。
白日の下に露わになった私のペニスは、恐怖で小さく萎縮し、情けなく垂れ下がっていた。田口は自らの口から手のひらに唾液を吐き出すと、それを潤滑油にして、私のペニスを執拗に刺激し始めた。
こんな悪夢のような状況で、身体が昂るはずがなかった。なぜこの変態は私を中山だと思い込み、こんな酷い仕打ちをするのか。怒りと恐怖で涙が滲む。
なかなか反応しない私の股間を弄りながら、田口は耳元で低く囁いた。
「おいおい、本当はこういうのが好きなんだろう?」
身に覚えのない言葉に、私は狂おしいほどに首を振った。必死に「違う」と訴えようとしたが、褌で硬く塞がれた口からは、虚しい籠った呻き声が漏れるだけだった。

田口は私を壁の方へと向かせ、背後から私のお尻を大きな手で愛撫し始めた。衣服越しではない、生身の肌に触れる男の手が、悍ましくてたまらない。
その時、お尻の割れ目に、冷たくてヌルヌルとした不快な液体が塗り付けられるのが分かった。ローションのようなものだろうか。拒絶する間もなく、男の太い指が、私のお尻の奥へと無理矢理ねじ込まれてきた。
「う、うぐっ……!」
激しい異物感と痛みに身悶えする。しかし、指は一本から二本、そして三本へと増やされていく。私はただ、痛みに耐えながら、獣のような男に玩具にされるがままになるしかなかった。

田口は三本の指で私の奥を執拗に拡げると、ふっと指を抜き、私の耳元でハァハァと荒い息を吹きかけながら囁いた。
「今から気持ち良くしてやるからよ……」
次の瞬間、私の人生のすべてを破壊するような、凄まじい激痛が走った。
田口は、自身の硬く猛り立ったペニスを、私の窄みへと一気に挿入したのだ。

肉体が裂けるような激痛と、経験したことのない底知れぬ恐怖。私の精神は限界を迎え、頭の芯が真っ白になった。
そして、痛みと恐怖のあまり、私は情けなくもその場で小便を漏らしてしまったのだ。太ももを伝う温かい液体。
それを見た田口は、あろうことか激しい勘違いをして、下卑た笑い声を上げた。
「おいおい、小便を漏らすくらい気持ちいいのか? ええ? 山口さんよぉ!」

背後から繰り返される激しい衝撃の中で、私はただ、この悪夢が早く終わることだけを祈り続けていた。
26/06/01 18:59更新 / 調教師の60代
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