真昼の迷宮
若かりし頃の私は、ただひたすらに外回りの営業職として街を駆け回っていた。プライベートでは独身を貫き、女性との夜の営みもそれなりにこなしてきた。ある時、お相手の女性から「大きすぎて入らない!」と驚かれたことがある。それまで他人のモノと見比べる機会などなかった私は、そこで初めて、自分のペニスが人並み外れて雄々しいサイズなのだと自覚した。しかし、それが本当の「武器」になる日が来ようとは、当時の私は夢にも思っていなかった。
昭和の熱い盛りの、ある日の午後。涼を求めて、私は見知らぬサウナの暖簾をくぐった。
「お客さん、ここがどういう場所か、分かって入ってます?」
受付の不躾な問いに、私はただのサウナだろうと高を括り、「知ってるよ」と軽くあしらって脱衣所へと向かった。それが、底なしの迷宮への入り口だとは知らずに。
浴場に足を踏み入れると、一見どこにでもある銭湯のようだった。しかし、何かが奇妙だった。男たちの距離が、妙に、執拗に近い。
怪しみながらもサウナ室のひな壇に腰掛け、どっと噴き出す汗を拭っていた、その時だった。
私の目の前に、60代ほどの、よく引き締まった体躯の男が座った。男は不意に大きく股を開くと、自らのペニスを無造作に握り、ものの数秒でギンギンに猛り立たせて見せつけてきたのだ。
「――ッ!?」
ギョッとして息を呑んだ。しかし、逃げることも目を逸らすこともできなかった。銭湯で見る弛んだそれとは違う、歓喜に震える男の性。初めて目にするその圧倒的な光栄に、私は完全に釘付けになっていた。
男は私の熱い視線を敏感に察知した。不敵な笑みを浮かべ、じりじりと距離を詰めてくる。気づけば、男の猛り立つ質量が、私の顔のすぐ目の前に迫っていた。
私はそれまで、自分を疑いもしない「ノンケ」だと思って生きてきた。しかし、血が、本能が、一瞬で裏返ったのはその刹那だった。
強烈な好奇心が脳を焼き尽くす。
(これは、一体どんな味がするのだろう――)
拒絶感など微塵もなかった。私は吸い寄せられるように唇を開き、男の先端にそっと舌を這わせた。
「……、口で、奥まで咥えてくれ……」
男が掠れた声で喘ぐ。私は言われるがままに口を大きく広げ、その熱を、男の匂いを、味わい尽くすように貪った。その時すでに、私の股間もまた、人生でかつてないほどの硬さで猛り狂っていた。
途中で別の客が入ってきた気配に、私たちは貪り合うのをやめ、平然を装ってサウナを出た。
火照った体を冷まそうと休憩スペースの長椅子に横たわっていると、先ほどの男が缶ジュースを手に、親しげに隣へやってきた。
「実は私、男の人は初めてなんです」
そう告白すると、男は目を見開いて絶句した。
「冗談だろう? あんなに慣れた手つきで……。ここはそういう、男が男を求めるサウナなんだよ。ということは、君はまだ誰の手にも染まっていないんだな」
男の瞳に、妖しい独占欲の炎が灯る。
「君の『初めて』を、俺に全部くれないか」
抗う理由などなかった。誘われるままに、さらに奥の薄暗い休憩スペースへと移動する。
重ねた唇は、驚くほど滑らかに馴染んだ。女性とのキスとは違う、荒々しくも包み込むような抱擁。男の舌が私の乳首を愛撫すると、背筋に電流が走った。
(男の身体が、こんなに気持ちいいなんて……!)
自然と私たちは、お互いのペニスを口で咥え合う『シックスナイン』の体勢へと収まっていた。
生まれて初めて受けるフェラチオの快楽は、想像を絶していた。男の熟練の舌使いに、私の脳は一瞬で弾け飛びそうになる。ものの1分も経たないうちに限界が訪れ、腰が跳ねた。
「だめだ、まだまだ楽しませてあげるから」
男は私のペニスの根元を、容赦なく手でギュッと締め付けた。射精の衝動を強制的に堰き止められ、快感だけが体内に充満していく。
口内は男の太い質量で塞がれ、声にならない喘ぎ声が漏れる。溢れた唾液が顎を伝ってダラダラと流れ落ちた。
「んん――っ! もう、限界だ!」
男が腰を激しく突き上げてきた。それと同時に、私の根元を絞めていた手が解放される。
ドクドクと、熱い閃光が弾けた。私は男の口内へと激しく果て、同時に、私の喉の奥深くへと、男の濃厚な熱い一撃が容赦なく注ぎ込まれた。
初めてのフェラチオ、初めての口内射精、そして初めて飲み干す、男の生証。
すべてを飲み干した瞬間、私は確信した。もう二度と、まっとうな光の世界へは戻れない。私はこの日、耽美で過激な「ゲイの世界」の住人となったのだ。
その後、まだ携帯電話もない時代、私たちは不便な待ち合わせを繰り返しながら、貪るように身体を重ねた。男からはお尻の技術も仕込まれた。
しかし、私は気づいたのだ。ウケとして貫かれる違和感よりも、この巨根で相手を屈服させ、征服するように「犯す」ことの中にこそ、私の真の歓びがあるのだと。
独身を貫き、誰かと深く繋がるエゴイズムは捨て、ただ純粋に夜の快楽だけを貪る日々。50代を迎える頃には、私はウケを完全に封印し、獲物をハントする獰猛な「タチ一本」の獣へと、完成を遂げていた。
昭和の熱い盛りの、ある日の午後。涼を求めて、私は見知らぬサウナの暖簾をくぐった。
「お客さん、ここがどういう場所か、分かって入ってます?」
受付の不躾な問いに、私はただのサウナだろうと高を括り、「知ってるよ」と軽くあしらって脱衣所へと向かった。それが、底なしの迷宮への入り口だとは知らずに。
浴場に足を踏み入れると、一見どこにでもある銭湯のようだった。しかし、何かが奇妙だった。男たちの距離が、妙に、執拗に近い。
怪しみながらもサウナ室のひな壇に腰掛け、どっと噴き出す汗を拭っていた、その時だった。
私の目の前に、60代ほどの、よく引き締まった体躯の男が座った。男は不意に大きく股を開くと、自らのペニスを無造作に握り、ものの数秒でギンギンに猛り立たせて見せつけてきたのだ。
「――ッ!?」
ギョッとして息を呑んだ。しかし、逃げることも目を逸らすこともできなかった。銭湯で見る弛んだそれとは違う、歓喜に震える男の性。初めて目にするその圧倒的な光栄に、私は完全に釘付けになっていた。
男は私の熱い視線を敏感に察知した。不敵な笑みを浮かべ、じりじりと距離を詰めてくる。気づけば、男の猛り立つ質量が、私の顔のすぐ目の前に迫っていた。
私はそれまで、自分を疑いもしない「ノンケ」だと思って生きてきた。しかし、血が、本能が、一瞬で裏返ったのはその刹那だった。
強烈な好奇心が脳を焼き尽くす。
(これは、一体どんな味がするのだろう――)
拒絶感など微塵もなかった。私は吸い寄せられるように唇を開き、男の先端にそっと舌を這わせた。
「……、口で、奥まで咥えてくれ……」
男が掠れた声で喘ぐ。私は言われるがままに口を大きく広げ、その熱を、男の匂いを、味わい尽くすように貪った。その時すでに、私の股間もまた、人生でかつてないほどの硬さで猛り狂っていた。
途中で別の客が入ってきた気配に、私たちは貪り合うのをやめ、平然を装ってサウナを出た。
火照った体を冷まそうと休憩スペースの長椅子に横たわっていると、先ほどの男が缶ジュースを手に、親しげに隣へやってきた。
「実は私、男の人は初めてなんです」
そう告白すると、男は目を見開いて絶句した。
「冗談だろう? あんなに慣れた手つきで……。ここはそういう、男が男を求めるサウナなんだよ。ということは、君はまだ誰の手にも染まっていないんだな」
男の瞳に、妖しい独占欲の炎が灯る。
「君の『初めて』を、俺に全部くれないか」
抗う理由などなかった。誘われるままに、さらに奥の薄暗い休憩スペースへと移動する。
重ねた唇は、驚くほど滑らかに馴染んだ。女性とのキスとは違う、荒々しくも包み込むような抱擁。男の舌が私の乳首を愛撫すると、背筋に電流が走った。
(男の身体が、こんなに気持ちいいなんて……!)
自然と私たちは、お互いのペニスを口で咥え合う『シックスナイン』の体勢へと収まっていた。
生まれて初めて受けるフェラチオの快楽は、想像を絶していた。男の熟練の舌使いに、私の脳は一瞬で弾け飛びそうになる。ものの1分も経たないうちに限界が訪れ、腰が跳ねた。
「だめだ、まだまだ楽しませてあげるから」
男は私のペニスの根元を、容赦なく手でギュッと締め付けた。射精の衝動を強制的に堰き止められ、快感だけが体内に充満していく。
口内は男の太い質量で塞がれ、声にならない喘ぎ声が漏れる。溢れた唾液が顎を伝ってダラダラと流れ落ちた。
「んん――っ! もう、限界だ!」
男が腰を激しく突き上げてきた。それと同時に、私の根元を絞めていた手が解放される。
ドクドクと、熱い閃光が弾けた。私は男の口内へと激しく果て、同時に、私の喉の奥深くへと、男の濃厚な熱い一撃が容赦なく注ぎ込まれた。
初めてのフェラチオ、初めての口内射精、そして初めて飲み干す、男の生証。
すべてを飲み干した瞬間、私は確信した。もう二度と、まっとうな光の世界へは戻れない。私はこの日、耽美で過激な「ゲイの世界」の住人となったのだ。
その後、まだ携帯電話もない時代、私たちは不便な待ち合わせを繰り返しながら、貪るように身体を重ねた。男からはお尻の技術も仕込まれた。
しかし、私は気づいたのだ。ウケとして貫かれる違和感よりも、この巨根で相手を屈服させ、征服するように「犯す」ことの中にこそ、私の真の歓びがあるのだと。
独身を貫き、誰かと深く繋がるエゴイズムは捨て、ただ純粋に夜の快楽だけを貪る日々。50代を迎える頃には、私はウケを完全に封印し、獲物をハントする獰猛な「タチ一本」の獣へと、完成を遂げていた。
26/05/27 16:36更新 / 調教師の60代
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