連載小説
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傲慢の代償
中村は、私が生活に困って必死に働いているとでも思い込んでいたのだろう。だからこそ、「クビ」という脅し文句を使えば、私が恐怖に震えて折れると踏んだに違いない。

だが、私にとってこの管理人という仕事は、単なる日々のメリハリのための趣味に過ぎない。クビにされたところで、痛くも痒くもないのだ。
しかし、この傍若無人な男をこのままのさばらせておけば、今後も調子に乗って周囲を苦しめ続けるだろう。どうせクビになるのであれば、最後に私の手で、この傲慢な老人に極上の仕返しをしてやろう――私はそう決意した。

「一度、管理人室に荷物を置き、準備をして参ります」

私が殊勝な態度でそう告げると、中村は「私がようやく恐怖で土下座する気になったのだ」と勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

実は、私はマンションの管理人として他の住人、特に井戸端会議に花を咲かせる主婦たちと非常に良好な関係を築いていた。そのため、中村に関する不名誉な身上はすでに私の耳に入っていたのだ。
中村は会社を引退したまさにその日、長年の傍若無人な振る舞いに愛想を尽かした妻から、離婚届を突きつけられていた。子供たちからも同じように見放され、彼は退職と同時に家族という人生の拠り所をすべて失っていたのだ。
その孤独と絶望が引き金となり、彼を止める人間がいなくなったことで、あの横暴さに拍車がかかっていたというわけだった。さらに近隣住民にも同じ態度で接していたため、中村の部屋は角部屋だったが、あまりの悪評に隣室は常に空室のままだった。

私は一度自宅に戻り、かつて数々の男を狂わせた「調教道具」を引っ提げて、中村の部屋へと舞い戻った。

まずは警戒を解くのが先決だ。私は家にあった純度の高い高級な酒を用意し、お詫びの印と称して中村に振る舞った。中村は「反省の色が見える」と機嫌を良くし、酒の勢いも手伝って見る見るうちに上機嫌になっていった。酒を飲みながらも、彼は延々と小言や自慢話を垂れ流していた。こんな男を日々接待させられていた元の部下や取引先は、さぞかし地獄だったろうと私は内心で嘆いた。

焼酎に始まり、日本酒、ウイスキー、そしてブランデー。お酒に目がない中村は、ちゃんぽんで煽るうちに、やがて泥のように深い酩酊の中へと落ちていった。

激しい大鼾をかき、叩いても起きない状況になったのを確認し、私はついに行動を起こした。

まず、中村が着ていた上質な服をすべて剥ぎ取り、丸裸にした。そして、手慣れた手つきで彼を縄で縛り始めた。久しぶりに味わうこの高揚感に、私は思わず鼻歌を混じりで作業を進めていた。今まで贅沢な暮らしを謳歌してきたのだろう、その恰幅の良い太った身体。しかし、その威勢の良さに反して、彼のペニスは驚くほど可愛らしいサイズをしていた。

私は中村を完全に身動きが取れない不格好な体勢で床に固定し、彼が覚醒するのをじっと待った。

――五時間ほどが経過しただろうか。
縛られた状態のまま、床に涎を垂らして眠っていた彼が、ようやくうっすらと目を覚ました。床に這いつくばるような格好のまま、彼は最初、自分の身に何が起きているのか理解できないようだった。しかし、後ろ手に固く縛られた腕がびくともしないことに気づき、ようやく異常事態を察知した。

「な、なんだこれは!どうなってんだ!?」

パニックを起こす彼の目の前に、私は静かに仁王立ちした。
ようやく状況を理解した中村は、顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。
「おい!すぐにこれを解け!目的は何だ?金か!?」

私に浴びせられる罵詈雑言。私は冷ややかな笑みを浮かべ、彼の耳元で囁いた。
「お金なんかじゃない。私が欲しいのは、中村さん、あなたの身体だよ」
「は……?何の冗談だ!?正気か!?」
彼はまだ、自分がどれほど絶望的な状況に置かれているかを理解していなかった。

私は持ってきたバッグから、黒くしなる鞭をゆっくりと取り出した。
「まずは、その汚い口の利き方から教え直さないといけないな」
私は彼の真横へと移動した。

身動きが取れない凶行にあっても、中村の傲慢さは消えなかった。
「こんなことが世間に知れたら、お前ただじゃ済まないぞ!」と、未だに脅迫めいた態度を崩さない。

「お前」という不遜な言葉が彼の唇から発せられた瞬間、私はすかさず、中村の肉厚なお尻に向けて鞭をしならせた。

ピシィィン!という鋭い破裂音とともに、中村から悲鳴に近い絶叫が上がった。
それでも彼のプライドは頑固だった。
「……っ!お前、絶対に許さないからな!」
「まだ分からないようですね」
私は再び、容赦なく鞭を打ち下ろした。

痛烈な打撃と罵声の問答が繰り返される。中村のお尻には、みるみるうちに真っ赤な鞭の跡が刻まれていった。あまりの激痛に、あれほど傲慢だった男も、五分もしないうちに完全に心が折れたようだった。

「ひぃっ!……一体、何の目的なんですか……っ!」

涙目で問いかけてくる中村に、私はこれまで彼から受けてきた理不尽な態度の数々を告げ、最初からあなたを調教することに決めていたのだと明かした。
「そんなことをして、あなたに一体何の得があると言うんだ……!」
「私は、あなたのような年老いた男性が好きなのですよ。ゲイなんです」

私の告白に、中村は恐怖を顔に張り付かせながらも、生理的な嫌悪感を剥き出しにした。
「ゲイだと……!?なんて汚らしい存在だ!」

その言葉を吐き捨てた瞬間、私は再び鞭を高く振り上げた。この言葉の通じない頑固な老紳士には、言葉ではなく、この肉体の痛みを通して「分からせて」あげるほかないようだった。
26/05/29 14:09更新 / 調教師の60代
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